抹茶モンブラン
「強引過ぎました、許してください」

 一度軽くキスしただけの彼が、逆に私に謝ってくれた。

「……私の方が失礼でした。すみません」
「いえ。鈴音さんが俺の事は異性として見れないんだという事を嫌というほど思い知りました」

 答えにつまって、何も言えない。

「鈴音さんの心にはまだ愛する方が生きているんですよね?」

 責める口調ではなかったけど、私の態度で小山内さんには心を完全に読まれているようだった。

 私は仕方なく、まだ愛する男性がいて事情があってその人に思いを残したまま別れる決意をした事を伝えた。
 すると、小山内さんは「そうか」と一言つぶやいて、天を見上げた。そして次に私の顔を見てニコッと笑って見せた。

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