抹茶モンブラン
「紗枝!歩けるのか!?」
嬉しさが先に立ち、僕は紗枝をぎゅっと抱きしめた。
歩ける、歩けるんだ、この子の未来には、まだまだ明るい光が差し込んでいたんだ!
「怒らないの……?」
僕が嬉しくて目に涙を浮かべているのを見て、紗枝が驚いた顔で見上げている。
「嬉しいよ、また以前の紗枝に戻れる可能性を知ったんだ。嬉しくない訳がないだろ?」
そう言うと、紗枝はまた両手で顔を覆って泣いた。
枯れてしまうだろうっていうほどの号泣で、僕もつられて彼女の頭を優しく撫でながら再び涙がこみ上げた。
そのまま数分経っただろうか。
紗枝は泣くのをやめて、今度は素直な笑顔を見せた。
本来の彼女が持つ、明るい笑顔だ。