抹茶モンブラン
 終わらないキスが長く続き、そのまま自然にお互いの肌に着けていた衣類を取り払う。
 熱い体を寄せあい、相手の心臓の音をしっかり聞きながら抱き会った。
 光一さんの腕の中だと、私は水の中でも泳いでいるかのように体が軽くなるのが分かる。
 彼が何か耳元でささやく度に体の温度が上がり、口にしようとした言葉は全てキスで絡めとられてしまう。

 こんなに愛せる人がこの世にいるという事が、私は不思議だった。

 一度別の人を愛したはずなのに、光一さんに対する気持ちはその時の数倍にふくれ上がっている。
 何が違うのか分からなかったけれど、お互いに求め合う気持ちがそのパワーを倍増させているような感じがした。
 愛のバランスが崩れると、どちらかが負担になるのかもしれないけれど……今のところお互いの重すぎるかなと思える愛情も愛しく感じられる。
 この関係がずっと続くとは限らないし、どこでまた揺らぎが出るのか分からないけど、私はもう自分の心に嘘をつくのだけは止めようと思った。

 俊哉に裏切られた時。
 私は泣いて攻撃して、もっともっと本気で彼を責めれば良かったのかな……と、ふと思う。
 私の本気な状態を見せていたら、別れる結末が同じだったとしても傷は半分で済んだかもしれない。
 怒りを内側に閉じ込めたから、私の心は壊れた。
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