抹茶モンブラン
「降ろして下さい!」

私は爆走している車の中で叫んでいた。

「おい、こんなところで降りたら死ぬって!」

本気で私がドアを開けようとしているのを見て、堤さんがさすがに慌てた様子を見せた。

「死んだっていいですよ!どうせ私なんかどこで死んでも関係ないんですから」

悔しくて、涙が出てきた。

ただの癒し人形として扱われた事に頭にきて、猛烈に情けなくなった。

癒す女性が欲しいなら、もっと別を当たって欲しいわ、私はそういう人間じゃない。


私の日常は孤独だ。

兄弟はいないし、両親は遠くの県でこじんまりと暮らしている。
学生時代の友人はいるけど、悩みを相談したりした事が無いから、私の事は皆「強い女ね」っていうイメージで見ている。

どこにも吐き出しようのない苦しみ。
それを私は一人で乗り越えたつもりだった。

なのに……こんな男の前で、私は涙をこぼしてしまった。

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