抹茶モンブラン
2章
1. 堤の過去 (SIDE 光一)
女性を求める気持ち。
久しくそういう普通の感情が沸くこともなく、僕自身が人間的に壊れてきているような感じがしていた。
仕事なんかどこかでけじめをつければ区切りがつけられるっていうのに、いつでもダラダラと資料を読みあさっていたりする。
正直、僕は社会人になってから、ろくでもない生活を続けていた。
好きでもない女性を抱いた後、即座にベッドサイドに置いた書類を読んだりしているような……常軌を逸した仕事馬鹿だった。
「最低……」
気持ちの確認など一度もしないまま、体だけを重ねた女が、僕を軽蔑したような目で見る。
「何かおかしい?」
自分の無意識の行動を最低と言われ、思わず女をまじまじと見てしまった。
一瞬燃えたように感じた夜の情事。
なのに、夜が明けるとお互いどこか哀れな空気が漂っていた。
「いくら何でもご飯を食べた後みたいに……、そんな態度って狂ってるわよ」
そんな捨て台詞を残して女は部屋を出て行った。
確かに。
女が出て行った後の自分の状態を見て、「尋常じゃないな」と思った。
裸同然の状態で、書物を読む自分の行動は普通の人間なら狂ってると思うのかもしれない。
たとえ一夜だけの付き合いだったとしても、もう少し情ってものがあっても良さそうだ。
久しくそういう普通の感情が沸くこともなく、僕自身が人間的に壊れてきているような感じがしていた。
仕事なんかどこかでけじめをつければ区切りがつけられるっていうのに、いつでもダラダラと資料を読みあさっていたりする。
正直、僕は社会人になってから、ろくでもない生活を続けていた。
好きでもない女性を抱いた後、即座にベッドサイドに置いた書類を読んだりしているような……常軌を逸した仕事馬鹿だった。
「最低……」
気持ちの確認など一度もしないまま、体だけを重ねた女が、僕を軽蔑したような目で見る。
「何かおかしい?」
自分の無意識の行動を最低と言われ、思わず女をまじまじと見てしまった。
一瞬燃えたように感じた夜の情事。
なのに、夜が明けるとお互いどこか哀れな空気が漂っていた。
「いくら何でもご飯を食べた後みたいに……、そんな態度って狂ってるわよ」
そんな捨て台詞を残して女は部屋を出て行った。
確かに。
女が出て行った後の自分の状態を見て、「尋常じゃないな」と思った。
裸同然の状態で、書物を読む自分の行動は普通の人間なら狂ってると思うのかもしれない。
たとえ一夜だけの付き合いだったとしても、もう少し情ってものがあっても良さそうだ。