抹茶モンブラン
「うん、恥ずかしいけどコーヒーも紅茶も角砂糖2個は入れないと飲めないんだ」

 子供みたいに照れた笑顔を見せて、彼は包み紙に入っていた角砂糖を2個ポンポンとミルクたっぷりのカップに入れた。
 きっとミルクの濃厚さと砂糖の甘さで口の中がまったりとなるだろうな……っていう紅茶だ。

 私はその様子を楽しく見つめながら、自分はストレートのまま紅茶を口にした。
 やっぱり少しミルクを入れた方がアッサムティーは美味しいなと思って、ミルクを追加する。

「こうやってると、何か……乙川さんと一緒に暮らしてるみたいな感覚になるなあ」
 
 カップをテーブルに一度戻して、広げてあった新聞をたたみながら、堤さんはそんな事を言った。

「そうですか?」
「うん。ここに座ってくれたら、もっとそういう気分になるよ」

 そう言って、彼は自分の座っているソファの半分を空けてポンポンとたたいて見せた。

 床に座っていた私は、照れながらも紅茶カップを手にしたままソファに移動した。
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