抹茶モンブラン
「どうやったら君を夢中にさせられるんだろう」

 堤さんの瞳が私をじっと見つめているのが分かる。

「もう……夢中ですよ」
「いや、僕との約束忘れるなんて、全然軽い状態だよ。悔しいなあ……僕の方が負けてるなんて」

 恋愛に悔しいっていう言葉が出るのは何だか面白いなと思って笑ってしまった。

「可笑しい?」
「だって、堤さん真面目な顔して変な事言うから」
「ねえ、その堤さんっていうのもそろそろ止めてくれないかな」

 そう言って、彼はカップを持つ私の手に触れてきた。

「えと……下の名前って光一さんでしたっけ。光一さん……でいいですか?」

 紅茶がこぼれかけたから、慌ててカップをテーブルに戻した。

「うん、いいよ。僕は君を鈴音って呼ぶよ、名前も君って涼やかな響きなんだな」

 思っても無いほどの彼のセクシーな声に、私の体は軽く震えたぐらい感じてしまっていた。
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