抹茶モンブラン
「つつ……じゃなくて、光一さん……、光一さん!こんな風に寝てしまったら体痛いだけですよ」

 そう声をかけてみたけれど、彼はすっかり安心した顔で眠っている。
 シャツがしわになってしまいそうだったけど、起こすのは無理だったから、私は彼の体にタオルケットをかけて、しばらくそのまま彼の寝顔を眺めていた。

 この人もちゃんと眠る事があるんだ。
 そんな当たり前な事を思ったりして、私はさり気なく彼の額にキスをした。

「約束間違っちゃって……ゴメンなさい」

 そのまま私も彼の寝顔の下で、ソファにもたれかかるように眠ってしまった。

「鈴音」

 光一さんの声と軽く肩を揺すられる感覚を感じて、私は目をふっと開けた。
 かなり変な体勢で眠ってしまったせいで、すぐに動けなかった。

「イタタ……」
「大丈夫か?ごめん、僕が先に寝ちゃったんだよな」
「ううん。大丈夫……それより、今何時ですか?」
「夜中の2時。僕、この時間っていつも起きてるから自然に目が覚めちゃうんだよ」

 紅茶を飲んだのが9時ぐらいだったから、それでも4時間以上は眠ってしまったって事?
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