抹茶モンブラン
「仕方ない、じゃあ今夜は君が寝付くのを見守るとするよ」

 そう言われて、私はコクンと頷いた。
 一応セミダブルのベッドだったから、私がすっぽり入ってもギリギリ光一さんが添い寝するスペースがあった。
 いつもなら不安で寝付けない夜中の2時という時間。
 この日は、隣に光一さんっていう存在がいてくれると思うだけで、安心感が私を包んでいた。

「不思議……、こんなに安心出来る夜って久しぶりだわ」
「そう?でも、僕はそんなに安心してもらえるような存在じゃないんだけどな」
「え?」
「今だって、どうやったら鈴音にキスできるのかとか、そんな事ばっかり考えてる」

 そう言った光一さんの顔を見上げてみる。
 頬づえをついて、私の隣で横になっている彼は優しく微笑んでいた。
 車でのギリギリな感じが消えていて、ようやく彼も私の心がそれほど薄情じゃないのを知ってくれたみたいだった。
< 65 / 234 >

この作品をシェア

pagetop