抹茶モンブラン
3章

1.温もりのないベッドサイド

 光一さんが忙しすぎて、職場で過ごすのは高田さんと一緒の事が嫌でも多くなった。
 光一さんは、相変わらずの追い詰められぶりで、お弁当を渡しても返事が無い事があった。
 そういうのが続くと、何となく余計な事はしないほうがいいのかなと思う。

「口を利かないのは怒ってるんじゃなくて、単に耳に入ってないだけだから」

 事前に言われていたけど、やっぱり声をかけても返事が無いと無視されたみたいで、軽く傷つく。

 そんな訳で、私はお弁当を作る回数を減らして自分も外食したりバリエーションのある昼休みを過ごしていた。

 事務の女性はほとんどが50歳を過ぎた職員さんで、彼女達はつるむでもなく勝手に自分の席でお弁当を食べている。
 だから、私は事務に居た頃から昼食はだいたい一人だった。
 もちろん一人が好きな訳でもなかったんだけど、話が合う人がいなかった。
 そんな中、年齢が同じっていう事もあって、高田さんと時々ランチを外で食べるようになっていた。
< 68 / 234 >

この作品をシェア

pagetop