抹茶モンブラン
「困らせてすみません、ただ、僕はあなたに好意があるっていう事だけ知っていてもらえればそれでいいんです」

 職場のドアを開けながら、彼は明るい表情で私に微笑んで見せてくれた。


 二人で研究室に戻ると、出張だと言っていた光一さんが席に着いていた。
 表情は固く、腕組みした状態でPC画面を睨みながら難しい顔をしている。
 彼のギリギリな表情を見て、高田さんと一緒に部屋に戻ったのはまずかったかな……という変な意識が働いた。

 余裕がある時は優しい彼だけれど、飽和状態になると必要以上に心配事を膨らませる癖があって、何度か高田さんとの事では探られていた。

「お疲れ様です。あの……今日って出張でしたよね?」

 それとなく機嫌を伺ってみる。

「……」

 無言だ。
 これは、彼がギリギリで、さらに私に対して何か疑惑をかけている証拠だった。
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