抹茶モンブラン
 その夜、私は久しぶりに目が冴えて眠れなくなっていた。

 11時をまわってしまうと、そこから寝ようとしても睡眠力が落ちる。
 睡眠薬を頓服でもらっているからそれを飲んでも良かったけど、あれを利用してもだいたい3時間ぐらいで目が覚めてしまうのが分かっているから、どうしようもなく眠れない時だけ使用しようと思って手をつけていない。

 余計な事が頭を占有して、どんどん嫌な気分が心の中を支配する。

 光一さんが口を利いてくれなかった事でも落ち込んでいたし、また前夫に会うかもしれないと思って通うスーパーを変えたりしている自分の後ろ向きな行動にも嫌気がさしていた。

 裏切られたのは私の方なのに、何故かコソコソしているのは私だ。

 恋人はいても、家族っていう固い絆にはかなわないと、どこかで思っているんだろうか……。

 私はいったい何を求めて、日々生きているんだろう。

 好きな男性がいて、仕事があって、ちゃんと生きている。
 これ以上私が望むものなんか無いように感じるのに、光一さんが眠っていたベッドサイドに温もりが無いというだけで、言葉に出来ないような寂しさを感じた。
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