抹茶モンブラン
 手にしたクマのぬいぐるみは、買ったら500円ぐらいかなっていう大きさだったし、縫い目とかもかなり適当だった。
 でも、光一さんが必死でとってくれたこのぬいぐるみは、私の宝物だ。
 ぎゅっと抱きしめて、その手にしたクマに「ヒカル」という名前をつけた。

「何でヒカルなの」
「光一さんの字をとったんですよ!」
「あ……そういう事」

 クマのぬいぐるみが、まるで自分達の子供みたいな気がして、私はそれを大切に胸に抱いた。
 そんな私の様子を見ていて、光一さんは笑っていた。

「何が可笑しいんですか」
「いや……思った通りの人だなって思って。動物とかに情が移るタイプだろうなって思ってたんだよ。でも、まさかぬいぐるみにまで名前をつけるとは思わなかった」

 こんなに本気で笑っている彼を見るのは久しぶりで、最初は笑われている事にむくれていた私も、そのうち一緒になって笑っていた。
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