抹茶モンブラン
 幸せな時間。

 夢のような二人だけの時間は、驚くほど早く、アッという間に終わってしまった。

「今日は泊まれないんだ。ごめん」

 次の日からまた遠い場所への移動があるから、土曜の夜だったけれど、彼とはお別れしなくてはいけなかった。

 相当寂しいけれど、ここで私はぐっと我慢をする。
 強くない私がこうやって好きな人との別れの時間を一生懸命耐えている姿は、外から見たらちょっと可愛そうに見えるぐらいのしょげっぷりだろう。

「明日からのお仕事、また頑張ってくださいね」

 涙を見せないよう、笑顔で頑張る。

「うん。携帯に連絡は入れるから」

 別れるのが惜しくて、私達は車の中でキスをしては抱き合って……それを何回か繰り返した。


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