悪徳商法
……あれ? 今変じゃなかった?
新しく持って来てもらったチューハイにちょっとだけ口をつけて、もう一度隣を見上げる。
「そんなに信じられなかったらお試ししてみません?」
完全に営業スマイル。
「お試し……?」
聞きなおす私に香坂はニコリと笑って。
「俺が浮気する男かどうか、検証しましょう」
「……なにそれ」
「押し売りです」
そう言って私の手をチューハイのグラスから離してギュッと握ってみたり。
「クーリングオフ、効きませんから」
握られた手はいやに暖かくて、見せられる笑顔は営業スマイルとは違って優しくて。
これは、
『悪徳商法だ』
って気付いたのは次の日の朝だった。
新しく持って来てもらったチューハイにちょっとだけ口をつけて、もう一度隣を見上げる。
「そんなに信じられなかったらお試ししてみません?」
完全に営業スマイル。
「お試し……?」
聞きなおす私に香坂はニコリと笑って。
「俺が浮気する男かどうか、検証しましょう」
「……なにそれ」
「押し売りです」
そう言って私の手をチューハイのグラスから離してギュッと握ってみたり。
「クーリングオフ、効きませんから」
握られた手はいやに暖かくて、見せられる笑顔は営業スマイルとは違って優しくて。
これは、
『悪徳商法だ』
って気付いたのは次の日の朝だった。