恋愛日記
俺の言葉に少し嬉しそうに返事する菜知を見てとても切なくなる。
「えっと……お名前は?」
俺は菜知のその言葉を聞いて逃げ出したくなった。
駄目だ。思った以上にショックがデカイ。
「えっと、康太です」
とっさに口にしてしてしまった自分の名前に
思い出してしまうではないか
と不安と期待で入り乱れた。
しかし、菜知は特に気にする様子もなく
「私、いつも病室にいるので
また来てください」
そう純粋な笑顔で言った。
こういう事なんだ。
俺のこと、すべて忘れてしまうということは。