理想の男~Magic of Love~
「今さら、恥ずかしがることか?」

彼の声がそう言ったのと同時に、ギシッとベッドが深く沈んだ。

「えっ…?」

恥ずかしがることって、何の話をしているの?

聞き返そうとした私に、
「――なっ…」

後ろから顔に向かって手が伸びてきた。

同時に、彼の方へと顔を振り向かされる。

よく整った顔が、目の前にあった。

「何にも覚えてなきゃ当然か、仕方ない」

彼は呟くように言って、息を吐いた。

「えっ…」

な、何が?

彼の言っていることがよくわからない。

何も覚えてなきゃ当然とか、仕方ないとか、どう言う意味なの?

「愛莉」

彼に名前を呼ばれて、心臓がドキッと鳴った。
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