理想の男~Magic of Love~
何をしようが、お腹はすくものだ。

グーッと鳴ったお腹に、私は思わず笑ってしまった。

人間の躰は、ずいぶんと現金にできていると思う。

時計は夜の8時を差している。

私は財布を手に持つと、近所のコンビニに向かった。

ドアを開けて入ると、
「いらっしゃいませ、こんばんはー」

いつかカップルに泣かされたあの時の10代のアルバイト店員の彼女が私を迎えた。

8時のコンビニは、人があまりいない。

当然、いつもここを利用しているかも知れない彼と顔をあわせることはない。

もし藤が毎日6時頃にこのコンビニに行って買い物をしているとしたら、8時ぐらいがちょうどいいと思った。

夕飯が遅くなるのは仕方ないが、藤と顔をあわせるよりかはずっとマシだ。

お弁当のコーナーに足を運んで一通り見回した後、
「昨日はパスタだったから、今日はドリアにしようかな」

そう呟いた後、チーズドリアをかごに入れた。
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