理想の男~Magic of Love~
それから数日経った日の昼下がりだった。

「――あってる、よね…?」

私が記憶を頼りに訪ねたところは、あの場所だった。

藤が主宰をする劇団の、あの劇場だ。

この前道に迷っていた私に手伝って欲しいと頼まれて入った小さな劇場を、また訪ねていた。

もしかしたら、ここに藤がいるかも知れない。

だけど、もしいなかったら?

いる場合もいなかった場合のことは、まだどちらも考えていない。

でも藤の家なんて知らない…いや、家に行ったらストーカーで警察に連行だ。

それよりも、
「やめようかな…」

ここに入ることに、私はためらっていた。
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