理想の男~Magic of Love~
だって、どうするの?

これと言って劇場の中へ入る用事が思い浮かばない。

入ったら入ったらで、藤さんはいますかなんて…そんなことを言える訳がない。

「帰ろうかな…」

そう思って呟いた時だった。

「あれ、何か用事ですか?」

私の後ろから声が聞こえた。

その声に振り返ると、コンビニの袋を持った眼鏡の男がいた。

「えっ…」

この人間違いなく、劇場の関係者だよね!?

ヤバい、どうしよう!

言い訳も口実も、何にも考えてない!

「覚えてます?」

パニックになりかけた私に、眼鏡の男が自分の顔を指差して聞いてきた。
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