理想の男~Magic of Love~
「えっ…?」

何をですか?

ポカーンと口を開けて彼にマヌケな顔をさらしている私に、
「ずっと前、手伝ってくれと頼みにきた…」

彼が自分の顔を指差して説明してくれた。

手伝ってくれと頼みにきた…?

「あ、あー!」

すぐに思い出して、ポンと手をたたいた。

そう言えば、この人だった。

いつだったか忘れたけど、この人は私に手伝ってくれと頼みにきた眼鏡の男の人だ。

「藤さんに会いにきたんですか?」

思い出した私に、彼がまた聞いた。

「えっ、えっーと…」

今度こそ困った。

言い訳も口実も、何にも出てこない。

「えっと、たまたま近くにきたから…それで、その…」

言っていることは、我ながらめちゃくちゃだ。
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