理想の男~Magic of Love~
確かめるように私の唇に触れた後、すぐに離れた。

藤はまた私を抱きしめる。

「愛莉が何にも知らない俺に恋をするなんて、夢の中の話だと思ってた。

好きと言ってくれるのも、夢物語でしかないと思ってた」

抱きしめている腕が、カタカタと震えている。

「俺から逃げるなら、今しかねーぞ?」

そう言った藤に、私は腕の中で首を横に振った。

「好きだから、逃げたくない。

知りたいから、離れたくない」

腕の中でそう言った私に、
「――愛莉…」

呟くように藤が私を呼んだと思ったら、コツンとお互いの額が重なった。

「好きだ…3年も前から、ずっと」

藤が告白した。

その告白に答えるように、私は藤の背中に両手を回した。
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