理想の男~Magic of Love~
けど、2年前の春の時だった。

俺は愛莉に自分の思いを伝えようと思っていた。

その思いを、どうやって伝えようと考えていた時だった。

「愛莉、彼氏ができたんだって!?」

たまたま通りかかった給湯室でその会話を聞いた。

何だって?

しちゃいけないとわかってはいたが、俺は給湯室の前に立ち止まって耳をそば立てた。

「まあ、エヘヘー」

愛莉の声が入ってくる。

「エヘヘ、じゃないわよー。

しかも一流企業に勤めてるそうじゃないのよー」

彼女の同僚らしい女性が愛莉に言っている。

「ごめんね、お先に失礼しちゃって」

笑いながら謝った愛莉に、
「ごめんで済むなら警察はいらないですー」

同僚の女性が返した。

笑いながら楽しそうに会話をする彼女たちとは対照的に、俺はショックだった。
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