理想の男~Magic of Love~
愛莉をあきらめるなんて無理だ。

片思いを終わらせるなんて無理だ。

「愛莉センパーイ、大丈夫ですかー?」

目の前にある座敷の方から声が聞こえる。

俺は愛莉を抱えあげると、トイレの方に連れて行った。

「あれー?

愛莉先輩、帰っちゃったのかなー?」

「まあ、いいんじゃない?

私たちもそろそろお開きにしましょう」

そうしゃべる後輩らしき女性の声をトイレの入り口から聞き流した。

俺の腕の中にいる愛莉は、まだ眠っている。

そっと、愛莉の頬に手を触れた。

「――んっ…」

愛莉はくすぐったいと言うように身をよじった。
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