理想の男~Magic of Love~
「考え直すなら、今のうちだぞ」

形のいい唇を動かして、藤が言った。

はだけたシャツから、キレイな鎖骨が覗いた。

「逃げるなら、今しかないぞ」

藤が言った。

私はその言葉に答える代わりに、頬をさわっている藤の手をつかんだ。

チュッ…

藤を引き寄せて、彼の唇に自分の唇を重ねた。

それから藤の目を見つめて、
「考え直さないし、逃げない。

私が望んで、藤を求めているんだから」

私は言った。

「――愛莉…」

藤が呟くように私の名前を呼んで、今度は彼の方から唇を重ねた。

確かめるように唇の形をなでる彼の舌に、躰が震える。
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