理想の男~Magic of Love~
その隙を狙っていたのか、舌が口の中に入ってきた。

「――んっ…!」

ああ、覚えてる。

躰が――特に口の中が、藤の舌を覚えていた。

気ままに口の中をなでる舌に感じて、躰が震えた。

「――んっ…」

チュッと、唇を強く吸われる。

こんなにも深くて甘いキスは、生まれて初めてだった。

彼と思いが通じあったから。

彼が本当に好きな人だから。

「――はっ…」

唇が離れたのと同時に、藤に見つめられた。
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