理想の男~Magic of Love~
黙っている私に、
「大事な人だったんじゃん…」

蘭さんが呟くように言った。

「えっ?」

私は声を出した。

それって、どう言う意味なの?

蘭さんは真っ直ぐに私を見つめると、
「兄貴のことをどこまで知ってるんですか?」
と、聞いてきた。

「『不知火モーターズ』って言う自動車会社の…」

昨日藤が言っていたことを思い出しながら答える私に、
「後は?」

蘭さんが聞いてきた。

「蘭さんとは腹違いの兄弟で…」

「それで?」

思い出しながら言う私に蘭さんは聞いてくる。

「あなたが社長をやってて…」

「次は?」

もはや、聞いていると言うよりも問いつめていると言った方が正しい。
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