理想の男~Magic of Love~
んっ?

「ちょっと、何でベッドなの?」

そう聞いたら、
「どうせならここがいい」

私をベッドに寝かせた後、藤もその隣で横になった。

「じゃ、答えようか」

藤は唇を動かした。

「俺が役者になろうと思ったのは、大学時代。

何となく、演劇のサークルに入ったことがきっかけだった。

俺の2つ上の先輩――彼がサークルの部長だったんだけど、その人の演技がすごくよかったんだ。

いわゆる、憑依型って言うのかな?

その役になりきる…と言うよりも、役の魂が入っていると言った方が正しいかも知れない。

とにかく、すごかったんだ。

他の大学にもファンが大勢いて、大手芸能事務所からスカウトがくるくらい」
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