理想の男~Magic of Love~
「じゃあ、藤はその人に憧れて役者になろうって?」

私の質問に、
「うん」

藤は首を縦に振ってうなずいた。

「だけど…」

藤は区切るように話を止めた後、
「その人には脚本と演出の才能があるって言われた。

その人は芝居の脚本や演出も担当してた。

俺が脚本と演出を担当するようになったのは、彼に「やって見ないか?」って言われて書いたのがきっかけだった。

えーっと…何を書いたのかは忘れちゃったけど、大学祭で俺が脚本を書いた話がものすごく好評だった」

続けて言って、藤はフフッと笑った。

「大学卒業後はさまざまな劇団に入って、20代の全ては演技の勉強をしてた。

俺が座長になって劇団を旗揚げしたのは2年前、つい最近だな」
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