理想の男~Magic of Love~
濡れた黒髪。

桜色に火照った肌。

ポタリと、髪から落ちる滴。

これ以上ないってくらい、藤は色っぽかった。

朝から欲情してる私って、まるで変態じゃないか…。

藤は濡れた自分の髪に手を伸ばすと、後ろへとかきあげた。

あ、かきあげた髪がちょっとオールバックになってる。

でもまとまっていないから、ハラリと少し前へと落ちる。

ヤバい…。

髪の毛くらいでドキドキと鳴っている心臓が、うるさくて仕方がない。

「寒い?」

藤がそう聞いてきた。

「えっ…」

何を聞かれたのかわからなくて、
「いや、全然…」

答えるのが遅れてしまった。
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