理想の男~Magic of Love~
私は続けて、
「優しい性格に、ウソなんていらないから」

浩治は何も返せないと言うように口を閉じた。

「お父さんとお母さんには、私の方から言っておくわ。

彼女のそばにいたいと思ってるんだったら、婚約はなかったことにしましょう」

そう言った私に、
「そんな…」

浩治が何かを言いかける。

そんな浩治に、
「南方さん」

彼女が浩治の肩に手を置いて、止めた。

彼女は浩治の目を覗き込むように見ると、ゆっくりと首を横に振った。

彼女の様子に浩治は理解したと言うように、
「お互い、好きな人がいるんだもんな」

呟くように言った。
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