理想の男~Magic of Love~
「――藤?」

話って、何なの?

聞くために口を開こうとした私に藤は微笑むと、私の頭をなでてきた。

それから、私を強く抱きしめた。

まるで、大事なものを扱うように。

一体、藤は蘭さんに何の話をするのだろう?

藤の腕の中で、私は思った。


壁の時計が、夜の8時になった。

藤はバイトに出かけているので、部屋には私1人だけだった。

ピンポーン

待っていたと言うように、玄関のチャイムが鳴った。

ドアの覗き穴で確認すると、蘭さんだった。

「どうぞ」

リビングに蘭さんを迎えると、私は彼の前に麦茶を置いた。

「ありがとうございます」

蘭さんはお礼を言うと、麦茶をすすった。
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