理想の男~Magic of Love~
よくよく見ると、目元が藤と似ていると思った。

腹違いの兄弟だって藤は言ってたけど、似ているところは似ている。

「何か?」

私の視線に気づいたと言うように、蘭さんが言った。

「あ、いえ…」

蘭さんに言われた私は、首を横に振った。

「兄貴は、何と言っていました?」

蘭さんは麦茶をテーブルのうえに置くと、私に聞いてきた。

「へっ?」

質問の意味がわからなくて聞き返した私に、
「俺のことを、どう思ってるんですか?」

訂正するように蘭さんが言った。

ああ、そう言うことか。

「腹違いの…」

弟だと言おうとした私を、
「それ以外で」

蘭さんがさえぎった。

私に言わせるすきを与えないらしい。
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