理想の男~Magic of Love~
その話術は、会議で鍛えられてるのかな?

蘭さんの様子に、私はそんなことを思った。

「両親がちゃんといるって言ってました。

自分は両親がいないって」

そう言った私に、
「兄貴にも、血が繋がっている父親がいます」

蘭さんが言った。

「でも、母親はいないって」

続けて言った私に、蘭さんはふうと息を吐いた。

「俺は、兄貴がうらやましいんです」

息を吐いた後で、蘭さんが呟くように言った。

「自分の夢を持ってる、自由な兄貴が。

ただレールのうえを歩いている俺の人生とは違って」

そう言っている蘭さんは悲しそうだった。
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