理想の男~Magic of Love~
「藤」

「んっ?」

私が名前を呼んだら、藤は私に視線を向けてくれた。

向けられた視線に、私は思い知らされた。

こんなにも好きだと思ったのは、藤が初めてだ…と。

「私は、藤の全部が好きだから」

突然の私の告白に、
「えっ?」

藤は驚いた。

「片思いの時間は藤に負けるかも知れないけど、思っている時間は私の方が勝っていると思う」

つけくわえるように言った私に、
「一緒だろ?」

藤はイジワルそうに笑って、私の頬に自分の唇を落とした。

その後で、
「思っているのはお互い様だ」

フワリと、藤が私を抱えあげた。
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