理想の男~Magic of Love~
「終わった」

藤が言った。

「――えっ…?」

その言葉がよっぽど衝撃的だったのか、眼鏡の男の口から出てきた声はかすれていた。

「いや、藤さんジョーダンは…」

話を続けようとする眼鏡の男に、
「俺はいつからウソつきになったんだ?」

藤は答えたくないと言うように言った。

さえぎったところを見ると、ジョーダンではないらしい。

「俺は終わったと思ってる。

それ以上言ったら、明日の舞台もその次の舞台にも出させない」

脅すように言った藤に、
「すみません…」

眼鏡の男は謝ると口を閉じた。

藤の様子に、絶対に言いたくないんだと私は思った。

“終わった”と言っていた藤の顔は、とても悲しそうだったからだ。
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