理想の男~Magic of Love~
“彼女”に失恋したのが、よっほどつらかったのだろう。

振られたのが、相当彼の心に深く傷を作っているのだろう。

「ああ、それと倉庫のカギな」

思い出したと言うように藤はズボンのポケットからカギを取り出すと、眼鏡の男に渡した。

藤は私のそばに歩み寄って、
「もう遅いから、俺はこの人を途中まで送って行く」
と、言った。

「あ…はい、わかりました」

眼鏡の男はペコリと頭を下げると、その場から出て行った。

またこの場には、私と藤の2人になった。

息苦しい沈黙が私たちを包み込んだ。
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