理想の男~Magic of Love~
私が言い返すと、藤は信じられないと言う顔をした。

「――自覚が、なかったんですか?」

その様子に、私は聞いた。

この人は自分がイケメンだと言うことに、自覚がなかったのだろうか?

いや…自覚されたらされたらで、それもめんどくさいけど。

藤は恥ずかしそうに、私から目をそらした。

「えっ、あの…」

何でそらされた!?

驚く私に対し、藤は手で口元をおおった。

気のせいかも知れないけど、顔がほんのりと赤くなっているような気がした。

何で?

「――まさか、聞かされるとは思ってなかった」

呟いているような藤の小さな声が聞こえた。
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