理想の男~Magic of Love~
…何を?

本当に、藤は一体何なんだ?

聞かされるとは思ってなかったって、どんな意味なのだろうか?

「それで藤さんを振った女性ってどんな人だったんですか?」

質問した私に藤は口元をおおっていた手を離すと、こちらに視線を向けた。

ドキッ…

こちらを見てくれたことに、私の心臓が鳴った。

「言ったら、俺のことを好きになってくれると思うか?」

形のいい唇から、バリトンの声が言葉を発した。

けど、端正なその顔は悲しそうだった。

「――えっ…?」

よくわからなくて、私は聞き返した。

好きになってくれるって…振られた“彼女”が、だよね?
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