理想の男~Magic of Love~
私、どうしてここにいるの?

昨日は一体何があったの?

考えて見ても、何も出てこない。

考えて見ても、何も思い出せない。

その時だった。

「はい」

私の目の前に差し出されたのは、ペットボトルに入っている水だった。

ペットボトルを持っている手は大きく、指は長くて骨張っていた。

あ、この手好きだ…じゃなくて!

手の持ち主に視線を向けた。

「――えっ…?」

目の前の人物に驚いて、口からかすれた声が出た。

――この人、誰なの?

ただでさえ訳がわからないのに、余計に訳がわからなくなった。

「喉渇いたんだろ?」

耳に静かに流れたのは、バリトンボイスだった。
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