理想の男~Magic of Love~
「ごめんね、豆大福を持ってきちゃって」

リビングにいる浩治に聞こえないように、私は小さな声で母に謝った。

そんな私に母は笑って、
「いいのよ、私と明美が食べておくから。

ご近所さんにもおすそ分けするから」
と、言った。

明美とは、私の2つ年上の姉だ。

近所のスーパーマーケットの精肉売り場で働いている。

今日は仕事のため、彼女は家を留守にしていた。

「それよりも…」

母は私の顔を見つめると、
「南方さんと何かあった?」
と、聞いてきた。
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