理想の男~Magic of Love~
「優しいお父さんでよかった」

車を運転しながら浩治が話しかけてきた。

「お父さんに気に入られたみたいで、私も安心したわ」

私は作り笑いで浩治の話に相づちを打った。

いつの間に、私は浩治の前で笑顔を作るようになったのだろう?

浩治は気づいてる?

…気づいている訳、ないよね。

そう思ったら、私の胸がチクリと痛んだ。

「せっかくだし、今日はどこか食べに行こうか?

久しぶりに愛莉の部屋にも行きたいし」

そう言った浩治に、
「うん、いいよ」

私はまた作り笑いを返した。

今日、家にくるんだ。

浩治に気づかれないように、息を吐いた。
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