理想の男~Magic of Love~
な、何と物騒な…!?

藤の言葉に、私は自分の躰が震えたのを感じた。

彼の顔色をうかがうように、私はそっと覗き込んだ。

…怖かった。

顔立ちが端正な分、なおさら恐怖である。

蘭さんはそんな藤の様子に動じていないと言うように、
「ものすごい肩の入れようだね。

嫉妬を感じるよ」

呆れたように息を吐きながら言った。

藤はやれやれと言うように息を吐くと、
「もう用がないなら帰れ。

そして、もう2度と俺の前に現れるな。

余計な援助もいらない」

冷静に、でも毅然たる態度で蘭さんに言った。

「――えっ…?」

援助って、何なの?

そう思っていたら、
「ああ、バレた?」

アハハととぼけたように笑っている蘭さんに、藤はズボンのポケットから何かを取り出した。
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