理想の男~Magic of Love~
終わったんじゃなかったの?

片思いじゃなかったの?

振られたとか、失恋したとか…って、私は何を言っているんだ?

藤のことをそんなに知っている訳じゃないのに。

「悪かったな」

唖然としている私に、藤が言った。

悪かったって、何の話をしているの?

私は藤から目をそらすように、うつむいた。

隠していたことを言っているの?

それとも、例の“彼女”に援助してもらってたことを言っているの?

それとも…私を蘭さんとの争いに巻き込んだことを言っているの?

「またこの前みたいに送ろ…」

「さようなら」

言いかけた藤をさえぎるように、私は背中を向けた。

「えっ…あ、おい」

藤が私に声をかける前に、その場から逃げ出した。
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