理想の男~Magic of Love~

「少しだけ距離を置きたいの」

家に帰ったことは帰ったけど、浩治はいなかった。

私を車から降ろした後、本当に帰ったんだ。

まあ、よかったと言えばよかった。

泣いている理由を彼に説明するのはめんどくさい。

何より、浩治に泣き顔なんか見せたくない。

ヨロヨロと足を動かしながらベッドにダイブすると、すぐに眠りについた。


会社に勤めていた頃の夢を見た。

椅子に座って仕事をしている私に差し出されたのは、1杯のコーヒーだった。

このコーヒー、すごく美味しいんだよね。

「お疲れ様です」

そう言った声の主に、私は視線を向けようとした。
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