理想の男~Magic of Love~
だけど、そのことに私はイラついた。

私が答えないことに、様子がおかしいと思ったのだろう。

「愛莉?」

浩治が心配していると言うように声をかけてきた。

「――少し、距離を置かない?」

私は言った。

「えっ?」

そう言った私に、浩治は訳がわからないと言うように聞き返した。

「どうしたんだよ、急に。

やっぱり、何かあったの?」

ウザい。

スマートフォンを持っている手が震えたのを感じた。

「何にもない。

しばらく電話もメールも、会いにくるのもやめて」

その優しさが重いのよ…。

そう言いそうになったのを我慢した。
< 97 / 270 >

この作品をシェア

pagetop