旦那様は見知らぬ方⁉
「どこに行くんですか?」
「秘密。言ったら美華ちゃんきっと嫌がるから」
「え〜」
彼の実家を後にして車で走ること30分。
どこに向かっているのか全くわからない…
「じゃあどこに向かっているか当てて」
「いいですよ」
「てか、また敬語になった」
ーギクッ
冷や汗が背筋をつたう…
「大丈夫、外であんなことしないからさ」
「よかった…」
「やっと素になったな」
「え?」
「気づいてないの?」
「うん」
「まぁいい、着いたよ」
話に夢中で全く景色なんて見てなかった。
ここは…実家だ。
「…………。」
「大丈夫、俺に任せて」
「私勘当されてるし…」
「戸籍上は親子だったけど?」
「えっ?」
「悪い、いろいろ調べさせてもらった」
「そう…」
「手、出して」
「えっ」
ーギュッ
「これで大丈夫だろ?」
長い指が私の指に絡められ、大きな手が私の手を覆った。
「よし、行こう」
あっ…手は呆気なく離された。
そうだよね、私を落ち着かせるために…
それに手繋いだままじゃ車から降りられない…
車を降りて歩き出そうと瞬間腕を引かれ、彼の胸に収まった。
「大丈夫、俺が居る。ツラくなったら手を強く握れ、わかったか?」
「うん…///」
顔が火照ってるのがわかる…
「帰ったら続きシよっか?」
「なっ、シない!」
「ほら手、行くぞ」
「うん」
彼となら大丈夫な気がする。
彼に全てを任せてみることにしてみよう…