旦那様は見知らぬ方⁉



「まっ、美華様‼︎おかえりなさいまし」

「お父様達はいる?」

「はい、いらっしゃいます。お呼びして参ります」

「お願いします」


この雰囲気…気持ちが悪い…


「客間でよろしいですか?」

「ええ、チャコは元気にしてる?」

「どうぞお上がりになって下さい、お話はそれから」

「そうだね」


斎藤さんは私が小さい頃からずっと居る家政婦さん。

母親代わりと言ってもいい存在…


「斎藤さん…」

「はい」

「私、彼と結婚するわ」

「おめでとうございます、嬉しいです。あんなに小さかった美華様が立派になられて素敵な方を見つけてこられて…奥様もきっとお喜びになられてますよ」

「そうだね…斎藤さん、今まで育ててくれてありがとうございました」

「いえ、私は奥様との約束を守ったまでです」

「紹介するね、惣田 玲空さん」

「はじめまして、惣田 玲空です。美華さんとの結婚のお許しを頂きにご挨拶に参りました」

「私は大賛成です…惣田様ならきっと美華様を幸せにして下されると私は感じます」

「ありがとうございます、世界一幸せにします」

「まぁ、素敵ですね…」


斎藤さんは涙を流しながら喜んでくれた。

この家で私が唯一信頼していた人、大好きな人に喜んでもらえて嬉しい…


「旦那様を呼んで参りますね、お話が済んだらチャコに会ってあげて下さい。美華様のお部屋にずっと居ますから」

「はい…」

「大丈夫、旦那様もきっとわかって下さいます」

ーグイッ

無言で彼は胸を貸してくれた。

私の溢れる涙を少しずつ止めてくれた…



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