旦那様は見知らぬ方⁉



5分後…

斎藤さんの気遣いにより、私が落ち着いてからお父様達を呼びに行ってくれた。


「笑ってろ、そしたらあとは全部俺に任せろ。大切な人には自分で伝えられた、もう十分頑張っただろ?」

「うん…」


何故だろう…
彼と出会ってまだ日が浅いのにまるで昔から一緒にいるような安心感を感じる…

彼に全てを任せよう…


「失礼します、旦那様と奥様がいらっしゃいました」


久々に見る父とあの人の顔…

驚きが隠せないという表情をする父。

私に全く関心のない、面倒だなという表情のあの人の顔。

手が震えるのがわかった。

大丈夫だと言うように彼は震えを止めるように強く手を握ってくれた…


「お久しぶりです、夏目社長。いえ、お義父様。お嬢さんとの結婚のお許しを頂きにご挨拶に参りました」

「君は…惣田グループの…」

「はじめまして、お義母様。惣田玲空です」

「はじめまして」

「君はどうして美華と結婚したいんだ。こんな反抗的で可愛げのない」


反抗的、可愛げのない。

そんな言葉今まで何度も言われてきた…

なのになんで今日はこんなにもこの言葉が胸に刺さるのだろう…


「僕は逆に美華さんにのそんなとろに惚れました。あの日威勢良く貴方に反抗する美華さんの姿に思わず目を奪われ、会場を飛び出した美華さんの後を追ってお話したんです。その時彼女に一目惚れしました」


思い出した…

あの時は涙でよく顔が見えなかったし、よく見ていなかった。

けど、あの時のジャケットを被せてくれた時の香り…

彼の香り…



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