【B】星のない夜 ~戻らない恋~


輝かない世界にいるのは何時も私で、
咲空良は私を利用して、
いつも輝いてる世界へと飛び出していく。



そんな醜い感情が、
渦巻いてる自分にすら吐き気がするのに
自分ではもう制御なんて出来ない。



多分……復讐は、
行きつくところまで追い続ける。



その果てに何がわかるのかすら
自分でもわからない、不気味さを残したまま。


葬式の後、その後の初七日まで参列する
咲空良を残して式場を後にした。



これ以上、仲睦まじく肩を並べる
二人を見るに堪えなかったから……。



その後も、いつもと変わり映えのない日常が続いた。



マンションと職場の往復。
そして咲空良とは連絡すらしていない。


新しい部署で嫌々ながらも働き続けて
3ヶ月が過ぎようとしていた。

どんなに退屈な場所でも周囲に評価されないと、
負けず嫌いの勝気な私の性格が顔を出す。


退職する前に、この部署にる私をバカにしたやつに
一矢報いたい。


そしてもう一つは怜皇様への純粋な想い。


同じ部署じゃなくても、同じ場所にいられなくても
会社にいれば、怜皇様に逢うことは出来る。

会社をやめてしまったら、それすらも出来なくなるから。
振り出しに戻っただけ。

プロジェクトは解散してしまったけど、
怜皇さまに、私自身として抱いてもらった時間がある。

怜皇さまの傍で一緒に仕事していた時間がある。

そんな時間を歩めたのは今の職場だから。



今、その場所を退職してしまったら
それこそ咲空良に何もかも敗北してしまう気がして……。


何をしても、どうしていても
常に感じる咲空良に対する敗北感が拭えない。


そんな敗北感から気を逸らす意味でも仕事に打ち込んでいる時間は気楽だった。

仕事を次から次へとこなして営業成績を確保していく。
大手の取引先も開拓出来て、ようやく上司や元からいたその部署の人間たちが
私の存在を受け入れ始めた6月。



私の体調に少しずつ変化が起きた。



体が怠くて微熱が続いてる。
胃がムカムカして吐き気がする。


生理予定日になっても月の使者がくる気配が全くなかった。




遅れてる?
相変わらず体温は微熱のまま。

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